肥満はなぜいけないの?基準はBMIで計算した4段階!肥満でなりやすい6つの病気と肥満の解消方法5つを詳しく紹介

食生活の欧米化が進み、ジャンクフードや高カロリー食品などが取り入れられる機会が増えたことで、日本でも肥満で悩んでいる人は増えています。中には、見た目は痩せていても隠れ肥満ということも…肥満はなぜいけないのでしょう?見た目の問題?健康上の問題?こちらでは、肥満の原因やそれによって起こりやすい病気、肥満の解消方法について詳しく説明していきます。

肥満って?

肥満と言えば、多くの人が見た目を気にする場合が多いですが、問題の多くは健康上の問題です。顔が丸くなった、着たい服が似合わないなどの悩みも困りますが、これらはほとんど問題にはなりません。肥満が良くないとされているのは、いずれ大きな病気を招くことが多いからです。

若い女性の間では、見た目を気にするあまり「やせすぎ」が問題となっていると言われています。現代の日本人は、やせすぎか肥満が増えていることが問題なのです。まずは、肥満の定義から説明しましょう。

肥満とは

肥満の定義って?

一般的に、日本肥満学会では肥満の基準としてBMIが使われます。これは体重〔Kg〕÷(身長〔m〕×身長〔m〕)の計算式を使います。例えば、170cmで70Kgの場合、70÷(1.7×1.7)=24.22となります。

18.5から25未満を基準値となる「標準」とし、18.5未満では「低体重」、25.0以上30.0未満で「肥満(1度」30.0以上35.0未満を「肥満(2度)」、35.0以上40.0未満を「肥満(3度)」、40.0以上を「肥満(4度)」としています。

また、腹囲(立った状態でへその高さに水平にメジャーを使って測る長さ)が男性85cm、女性90cm以上の場合を「上半身肥満の疑いあり」と言います。見た目はそれほど太っているように見えなくても、内臓脂肪が多い「隠れ肥満」は、腹部CT検査を行った際に分かります。

へその位置で内臓脂肪が100cm²以上あるものを「内臓脂肪型肥満」と呼んでいます。実は体脂肪と言っても、この内臓脂肪型肥満の方が生活習慣病に最も多くの影響を及ぼします。内臓周辺の脂肪は代謝がさかんで、血液中の脂質濃度を上げる原因になります。

また、すい臓から出されるインスリンの働きを低下させると血糖値が下がらなくなったり、脂肪細胞には血圧を上昇させる物質があります。このことにより、内臓脂肪型肥満で糖尿病や脂質異常症、高血圧などが起こってくるのです。

脂肪の蓄積

肥満とは、さまざまな原因によって起こりますが、そのうち「肥満細胞の肥大化」というものがあります。これはたくさんついた脂肪のうち、細胞一つ一つが大きくなっていることを指します。つまり、細胞レベルで肥満が起こっているというわけです。しかし、この現象も体重を適正値に戻せば、細胞の大きさももとに戻ると言われています。

また、「脂肪細胞の増加」という場合があります。人間の脂肪細胞は、生まれて1年間のうちに増えていきます。その後は細胞が成長するものの、増加はそれほどありません。これは乳幼児期の肥満の原因です。

子どもの頃に肥満になってしまうということは、その後肥満体質を作ってしまうということです。増えてしまったその脂肪細胞が肥大化すると、肥満がさらに進むことが想像できますよね?子ども時代に体をよく動かし、適切なカロリーを守ることは、将来に向けて健康に育つために必要なことなのです。

肥満の分類って?

肥満にはその原因から「単純性肥満」「病的肥満」「症候性肥満」に分類されます。

「単純性肥満」とは、日常的に起こっている肥満の多くのことを指します。過剰なカロリー摂取、運動不足などによって起こります。その人自身に問題があることが多く、肥満によってさまざまな病気をもたらす可能性があると言ってもいいでしょう。解消方法や予防も個人にかかっています。

「病的肥満」とは、肥満が限度を超えて病気に進行してしまっている状態のことを指します。これは肥満が糖尿病や高血圧を起こすというようなものではなく、肥満そのものが命を脅かしているということです。例えば、脂肪がつきすぎて呼吸困難になったり、立ったり座ったりするだけの動作ができないということです。

「症候性肥満」とは、生活習慣が原因で起こるものではなく、病気による結果や薬の副作用で起こるもののことを言います。一つは視床下部にある満腹中枢に障害が起こる、「フレーリッヒ症候群」などがあります。

他には「クッシング症候群」で中心性肥満、「甲状腺機能低下症」、「偽性副甲状腺機能低下症」なども症候性肥満の原因として挙げられます。薬による副作用として起こる症候性肥満には、副腎皮質ホルモン(ステロイド)によるものがあります。

また、脂肪の種類によっても「皮下脂肪型肥満」「内臓脂肪型肥満」に分けられます。「皮下脂肪型肥満」とは比較的女性に多く、ゆっくりと貯まっていきます。生活習慣病にすぐ直結するものではありません。目に見えるので意識しやすいものですが、皮下脂肪は血流が悪いため燃えにくい性質があります。

「内臓脂肪型肥満」とは男性に多く、早く貯まり早く燃える性質があります。ですが、この燃えるときに遊離脂肪酸という物質を作り、動脈硬化や脂質異常症を招いてしまうのです。

先ほどあったように、腹部CTで発見されることもありますが、ウエストとヒップのサイズ比(ウエストをヒップで割った値)が男性では1.0以上、女性なら0.9以上で上半身型肥満と言われています。見た目ではそれほど肥満には見えなくても、内臓脂肪がついている「隠れ肥満」はこちらのことを言います。

肥満の原因・4つ

1.暴飲暴食

肥満の原因として一番問題となるのが、「過剰な摂取カロリー」です。それは暴飲暴食で起こります。日常的に摂取カロリーが多い人であれば、それが当たり前と思っているかもしれません。

親が肥満で、そのお子さんも肥満である場合、そのような食習慣が身についてしまっているのが原因であることが多いです。多くは、お腹は満たされているが食後に甘いものが食べたい、目の前にある多くの食べ物を口にしたい、という欲求に負けてしまうことから起こります。

空腹になると、空腹中枢が働いて食欲が起こるのですが、満腹になると今度は満腹中枢が働いて、食事をやめるのです。病気や先天的に満腹中枢に障害が起こっている場合は、満腹中枢が正常に働かないことがあります。満腹中枢の異常がなかったり、痩せていても激しい食欲を感じる方がいますが、専門の医療機関に相談することが必要になることもあります。

2.基礎代謝の低下

筋肉量が減ると基礎代謝が低下します。また、年齢を重ねても基礎代謝が低下します。よく30歳代になると今までと同じように食べていても太る、そして痩せない、といった悩みを耳にしますが、それはこの現象から起こっているのです。

運動不足が続くと筋肉量は低下します。運動習慣のない中年期以降に肥満が増えるのはそのためです。その際に、食事だけでダイエットをしようとすると、体が省エネモードに切り替わり、脂肪だけでなく骨や骨格筋も減少するので、結果さらに基礎代謝の低下が進みます。

基礎代謝を上げるには、筋肉量を上げることが必要ですが、それには、筋肉の中でも高い割合を占める骨格筋をつけることが重要だと言われています。

3.遺伝

上にも挙げたように、生活習慣は家庭で大きく影響を受けます。一回の食事量や間食の有無、運動習慣などは各家庭によって異なりますよね。ですから、両親が肥満だと、そのお子さんも肥満になる傾向が高くなるのです。

あとは、遺伝が関係しているとも言われています。肥満遺伝子「レプチン(食欲抑制ホルモン)」というものが発見され、そのレプチンの異常が肥満に関連するというのです。

4.ストレス、睡眠不足

ストレスが原因で過食になったり、逆に、食べられなくなったりということはよくあることです。人は繊細なので、精神的な影響で健康的にも不健康にもなってしまうのです。

食事をすることで、「セロトニン」という幸せホルモンが分泌されます。このホルモンは心の状態を穏やかに保ち、ストレスを減らす働きがあると言われています。それを求めて過食に走ってしまうことがあるのです。

睡眠不足は肥満につながります。これは「起きている時間が長い=空腹になる時間が多い」ということだけではなく、睡眠時間が短くなると「レプチン(食欲抑制ホルモン)」の分泌が低下して代わりに「グレリン(食欲増進ホルモン)」の分泌が増加するからだと言われています。レプチンは先ほども出てきましたね。肥満とホルモンには深い関連があるようです。

肥満でなりやすい病気、症状・6つ

1.糖尿病

人間は空腹になると血糖値が下がり、食後に血糖値が上がるようになっていますが、摂取カロリーが多くなると、それだけ血糖値も上がります。血糖値が上がると、それを下げようとして、すい臓からインスリンが分泌されます。

食事回数が多い、だらだら間食をするという人は、高血糖の時間が長くなるので、インスリンが常に出ている状態です。それによってすい臓がヘトヘトになってしまい、インスリンの分泌が減ってしまうので、糖尿病を招いてしまうのです。

初期の段階で改善されるといいのですが、その状態が持続したり、肥満が進むと、糖代謝のバランスが崩れて「インスリン抵抗性」という状態になります。

治療は食事療法、運動療法、内服薬やインスリン注射による薬物療法があります。症状が進行すると食事のたびに血糖値を自分で測定し、インスリン注射を自分で行う必要が出てきます。

2.高血圧

高血圧とは血圧を送る圧力が高まり、血管が傷んでしまう病気のことを言います。正常血圧は130mmHgまで、拡張期血圧が85mmHgまでと言われています。高血圧は心臓の一回拍出量が高いことで起こります。

体が大きければ、それだけ心臓も頑張らなくてはなりません。また、肥満の人は塩分の強い食べ物が好きな傾向にあります。塩分も高血圧を引き起こすのです。先ほど挙げたインスリン抵抗性によっても、血圧が高くなると言われています。

3.脂質異常症

肥満の人は、コレステロールや脂肪分の高い食べ物が好きなことも多いようです。脂質異常症とは、血液中に中性脂肪またはLDL(悪玉)コレステロールの値が高くなるか、HDL(善玉)コレステロールの値が少なくなる病気のことを指します。

中性脂肪もコレステロールも、体には必要とされているものなので、全く摂らないのもよくありませんが、摂りすぎると血液中にプラークと呼ばれる塊ができ、動脈硬化を引き起こします。これらは、のちに心筋梗塞や脳梗塞を招くおそれがあるとされているので、注意が必要なのです。こちらは、自覚症状がない病気なので、血液検査などを受けることで初めて発見されます。

4.心筋梗塞、脳梗塞

動脈硬化が進むとプラークが血流に沿って流れ、血管が細くなったり詰まってしまうことがあります。これが心臓で起こると心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞となります。心筋梗塞の症状は持続的な胸痛(15分以上)や動悸、息切れ、めまい、冷や汗などです。

一方、脳梗塞の症状は手足の脱力や言葉のもつれ、つじつまの合わないことを言ったり、物が二重に見えたりすることがあります。動脈硬化には症状がないので、どこまで進行しているかは、血液検査を受けないと分かりません。心臓や脳の血管はいくつかありますので、そのどこで詰まってしまうかで、重症度も予後もずいぶん違ってきます。

心筋梗塞の治療は、心臓カテーテル検査での治療(風船治療やステント留置)か冠動脈バイパス手術、血栓を溶かす「血栓溶解薬」によるものなどがあります。梗塞後6時間以内に処置を行うことが大切だと言われています。

発症直後の脳梗塞の治療は主に血栓を溶かす「血栓溶解療法」、血液中に含まれる血小板が詰まらないようにする「抗血小板療法」、血液が固まらない(血栓にならない)ようにする「抗凝固療法」、「脳保護療法」などが行われます。

5.変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、関節軟骨の老化でひざに痛みが走ったり、水が溜まったりすることを言います。初期では、立ち上がりに痛みを感じますが休んでいると改善します。症状が進行すると正座や階段の上り下りが難しくなり、末期では安静にしていても痛みが取れず、ひざに変形が目立ちまっすぐ立てなくなります。

これらの症状は1:4で女性に多く、主に加齢が原因でおこる病気ですが、肥満や遺伝も原因の一つです。骨折や靭帯、半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として起こることもあります。加齢によるものでは、関節軟骨が弾力性を失い、使いすぎによって、すり減ることで起こるといわれています。

症状が軽い場合は、痛み止めや湿布薬で様子を見ますが、進行すると関節鏡手術や人工股関節置換術などの手術が適応になることもあります。肥満を解消したり温めたり正座を避けることで、これらの進行を防ぐことができます。

6.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まる病気です。10秒以上の気流停止を無呼吸とし、7時間の睡眠中に無呼吸が30回以上、もしくは1時間のうち5回以上あれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

これらの主な症状としては、日中に強い眠気が襲ったり、倦怠感や集中力低下が起こります。睡眠中にいびきをかいたり、起床時には起きにくかったり、体が重だるく感じることもあります。

この病気になりやすいのは肥満の人、痩せていても顔周りに脂肪が付いている人と言われています。下あごが小さかったり、小顔など肥満とは無縁の人でも起こることがあります。たばこやお酒が好きな人にも起こりやすいとされています。

治療にはCPAPというマスクを着けて、人工的に呼吸をさせる方法が一般的ですが、マウスピースを使ったり、手術で気道の閉塞を取り除く方法もあります。

肥満の解消、治療方法・5つ

1.食事療法

肥満の解消方法で一番重要なことは、食事療法です。間違ったやり方をすると、筋肉や水分量が落ちて代謝が低下してしまいます。摂取エネルギー量の設定は、性別、年齢、肥満度や合併症の有無、日常生活やスポーツによる身体活動量などによって決められます。

一般的には、標準体重あたり1日で25~30kcalを目標として設定します。たとえば、身長が170cmの人の場合だと、標準体重は1.7×1.7×22=63.5ですので、1日当たりの摂取カロリー量は63.5×25~30=1587~1905Kcalの間で設定されます。

カロリーを制限しているだけで良いというわけではありません。食事内容のバランスも大切です。主食(炭水化物)、肉や魚、豆類や卵などの主菜(良質なたんぱく質)、野菜や海草、キノコなどの副菜(ビタミンやミネラル、食物繊維)をバランスよく摂る必要があります。

2.有酸素運動

肥満の解消に、もっとも良いと言われているのがウォーキングやゆっくりめのジョギング、水泳などの有酸素運動です。ここで、いきなり長時間負荷を与えることは、ひざや筋肉にとってもよくありません。まずは、毎日少しずつでもいいので運動習慣をつけるようにしましょう。

特に適度なウォーキングや水泳、水中ウォーキングなどはひざの負担が少なく、中程度以上の肥満の人にもおすすめです。なかなか時間が取れない人は、エレベーターを使わず階段を使う、1駅前で降りて歩く距離を伸ばす方法もあります。

3.筋トレ

筋トレは無酸素運動ですが、筋肉量が増えると基礎代謝量が増えるので、効率的に減量することができると言われています。筋トレには、腹筋運動やダンベル運動(水を入れたペットボトルでもOK)、スクワットなどがあります。これらはテレビを見ながらでもできますよ。

筋肉量を増やすには、もともとある筋肉を落とさないことが大切ですので、極端なダイエットで、筋肉量を落とすことは逆効果と言えることが、こちらでもわかりますよね。

4.手術治療

食事療法や運動療法を行っても、極度の肥満(BMIが35以上)の人では、効果が表れないことが多いようです。外国では、肥満に対する外科手術は積極的に行われていますが、日本では最近まで保険適応となっていなかったため、積極的には行われてきませんでした。

ですが、肥満が生活習慣病と密接に関係があること、心疾患の死亡率が、この手術によって減少したことなどから、この手術は救命手術として考えられるようになりました。そして、2014年4月より日本でも保険適応手術として承認されました。

ほとんどの肥満手術が、腹腔鏡で行われています。手術内容としては胃の容量を減らしたり、上部消化管にバイパスを通したり、その両者を結合することで、食べたらすぐ満腹になって食事量を減らすことを目標としています。

5.薬物治療

肥満解消の方法として、食欲抑制薬というものがあります。「サノレックス」はBMIが35以上の高度肥満者に対して処方される薬で、摂食中枢に作用して、食欲を減らす効果があると言われています。この薬は妊娠中や授乳中の人、統合失調症の人、抑うつ状態の人は飲むことができません。副作用としては吐き気や便秘、のどが渇くなどの症状があります。

「ゼニカル」は、米国食品医薬品局(FDA)で承認されている薬で、医師の処方が必要です。これは、脂肪分解酵素であるリパーゼの働きを抑え、体に脂肪が吸収しないようにします。こちらも妊娠中や授乳中の人、消化不良がある人などは服用することができません。副作用としては、急激な下痢や便意、吐き気などがあります。

まとめ

若い人が気にする見た目だけでなく、健康上にも問題が出てくる肥満について、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。生活習慣病に密接な関係があると言われているため、早急に予防、改善したいですよね。

極端な食事制限は、即効性はありますが持続はしませんし、不健康なやせ方をします。筋肉量が落ちるため基礎代謝も低下します。肥満を解消する近道は、栄養のバランスを考えながらカロリー自体を見直し、毎日の運動習慣をつけることが大切です。

おいしいものがあふれている現代では、それに対する食欲との戦いが一番の課題ですよね。いつまでも健康的で若くいられるためにがんばりましょう!