中性脂肪の数値ってどうやってみるの?高すぎても低すぎてもダメって本当?

健康診断における気になる数値の1つである中性脂肪値。つい気にして健康診断の前は脂質の多い食べ物を食べないようにしたりしますよね。ですが、この中性脂肪値は高過ぎても問題がありますが、低すぎても健康に支障が出てしまうことをご存知でしょうか。ここでは中性脂肪の数値の意味や異常があった場合の対処法、中性脂肪値改善のポイントなどについて解説していきます。気になっている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

中性脂肪の数値にはどんな意味があるの?

なんとなく低ければ低い方が良いというイメージもある中性脂肪値ですが、これは実は大きな間違いです。中性脂肪値は高過ぎると問題がありますが、低すぎても体に良くない影響を与えてしまいます。

そもそも中性脂肪とは、一体どのような働きをしているのかご存知でしょうか。中性脂肪は人間の体を動かすエネルギー源であり、主に食物に含まれる脂質から吸収されます。脂肪を含む食物を食べると小腸で脂質が吸収されて血中に入り、体の生命活動に利用されていきます。

ただ、過剰に脂質を摂取してしまうと余ったエネルギーが脂肪として蓄えられ、体にぷよぷよの贅肉がついてしまうことになります。とはいえ、この中性脂肪は生命維持活動や体温保持などのエネルギーとして活用されていますので、足りなくなると体の健康に大きな影響が出てきてしまうのです。

中性脂肪の数値の意味をきちんと把握して、自分の健康状態を知る手がかりの1つとしてくださいね。

中性脂肪とは?基準値やコレステロールとの関係は?

中性脂肪とは一体何を示すものなのかご存知でしょうか。また、同じ脂質の一種であるコレステロールとどのような関係があるのでしょうか。それぞれの違いや基準値を知り、自分の体の状態をしっかりと把握できるようにしておきましょう。

中性脂肪(TG)とは

中性脂肪(TG:トリグリセリドまたはトリアシルグリセロール)は、体の中にある4種類の脂質(中性脂質、リン脂質、糖脂質、ステロイド)の内の1つで、口から摂取された砂糖などの糖質や炭水化物、動物性脂肪などを原料として肝臓で合成されます。中性脂肪は体を維持するためのエネルギー源となりますが、過剰に摂取してしまうと消費しきれずに皮下脂肪として体に蓄積されていきます。

中性脂肪の基準値は、30〜149mg/dlと定められています(日本動脈硬化学会)。中性脂肪値は食後30分程度から上がり始め、4〜6時間後にピークを迎えるという特徴があります。

中性脂肪の基準値は学会によって異なる

中性脂肪の基準値は、前項でご紹介した日本動脈硬化学会の基準値を基準としている医療機関が多いのですが、学会によって様々な見解があり、その数値も異なります。

例えば、人間ドッグ学会の基準値は性別や年齢を考慮されており、中性脂肪の基準値は男性:39〜198mg/dl、女性:32〜134mg/dlとしています。さらにコレステロール値は年齢によって細かく定められています。また日本脂質栄養学会ではそもそも中性脂肪やコレステロールは悪いものではない、と主張をしており、一時期は学会間で中性脂肪やコレステロール値の論争があったほどです。

素人からすると、学会の論争は良いから結局どの数値が正しいのと思ってしまいますが、どの学会の主張にも一理あるため基本的には各医療機関の判断に任せるという状態で現在は落ち着いているようです。

そのため、中性脂肪やコレステロールの数値だけで判断せず、総合的に見て何か異常はないだろうかと判断されることが一般的になっています。

中性脂肪とコレステロールはそれぞれ違う

コレステロールは中性脂肪と同様に体内にある脂質の1種です。同じ脂質ではあるのですが、体の中でになっている役割にそれぞれ違いがあります。
(1)悪玉(LDL)コレステロール
悪玉(LDL)コレステロールは、肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶ役割を持ちます。血流に乗って全身に運ばれ、全身の細胞のエネルギーとなりますが、過剰に供給され過ぎると血管壁にコレステロールが蓄積して動脈硬化を促進させることになります。

LDLコレステロールの基準値は60〜139mg/dlと定められており、検査値よりも高いと脂質異常症や動脈硬化症が疑われ、低いと肝硬変などが疑われることになります。
(2)善玉(HDL)コレステロール
善玉(HDL)コレステロールは、使われなかったコレステロールを全身から回収して肝臓に戻す働きがあります。HDLコレステロールが多ければ血管壁へのコレステロールの蓄積が抑えられるため、動脈硬化の予防に役立つことが分かっています。

HDLコレステロールの基準値は40〜119mg/dlで数値が低いと脂質異常症や動脈硬化症などが疑われますが、数値が高い分には特に問題がないとされています。

中性脂肪値を知るにはまず血液検査を

中性脂肪値は血液検査により知ることが出来ます。血中のコレステロールや中性脂肪値を測定する脂質検査は、健康診断や人間ドックでほぼ行われる必須の項目ですから、気になる方はその際にしっかりとチェックしておくようにしてください。

血液検査の際のおおよその目安は以下のとおりです。

29mg/dl以下:低中性脂肪血症
30mg/dl – 149mg/dl:正常
150mg/dl – 299mg/dl: 軽度高中性脂肪血症
300mg/dl – 749mg/dl: 中度高中性脂肪血症
750mg/dl以上: 高度高中性脂肪血症

詳細については、下記で詳しくご紹介していますのでそちらをご参照ください。

中性脂肪値の数値とリスクについて

中性脂肪値が正常値から外れていた場合、体はどのような状態にあり、どのようなリスクがあるのでしょうか。数値別に解説していきますので、ぜひご自身の検査結果と照らし合わせてみてくださいね。

29mg/dl以下の低い場合

中性脂肪値が低い状態というのは、すなわち血中に流れる脂肪である脂溶性ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、βカロチンなど)が不足している栄養欠乏状態にあるということが出来ます。脂溶性ビタミン類が低くなると、動悸や息切れ、めまいやふらつき、体のだるさ、偏頭痛、動脈硬化などの症状が起こるとされています。

また、その状態が続くと甲状腺機能亢進症、肝臓病、アジソン病などの病気に繋がることがありますので注意が必要です。

30 ~149mg/dlの場合

中性脂肪値が正常であるということは、体に摂取しているエネルギーと消費しているエネルギーのバランスが取れている状態と考えられます。ただ、中性脂肪値が正常であってもLDLコレステロール値が高い場合には高コレステロール血症(脂質異常症の1つ)と診断されますので、中性脂肪値だけを見て安心せず、その他の検査項目にも気を配るようにしてくださいね。

150~299mg/dlの軽度に高い場合

中性脂肪値が若干高めの状態です。中性脂肪値だけが高い場合は、この時点で食生活や運動などの生活習慣を見直せば特に問題にならないことが多いとされています。ただ、中性脂肪値が150mg/dl以上であることに加え、コレステロール値が220mg/dl以上である場合には、高脂血症と診断されることになります。

1997年に日本動脈硬化学会により定められた高脂血症診断ガイドラインによれば、コレステロール値200〜219mg/dlを境界域と定め、食生活や運動習慣の改善によりコレステロール値を下げる努力を促す必要があると記載されています。

300~749mg/dlの中度に高い場合

中性脂肪値が300mg/dl以上になると、食生活の乱れや運動不足以外にもリスク因子があると判断され、通常早急な対策が必要になります。脂質異常症や糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、肥満、肝障害などの疾患のリスクが非常に高くなるため、確実に中性脂肪値を下げる対策をとる必要が出てきます。

750mg/dl以上の高度に高い場合

中性脂肪値が危険領域に達している状態です。このまま放置しておくと、動脈硬化や心疾患、脳梗塞などを発症する可能性が非常に高くなります。また、1000mg/dlを超えると急性膵炎を発症する危険性も高まるため、薬物治療により早急に中性脂肪値を下げることが非常に大切になります。

放置しないで!中性脂肪値別の対処法とは

中性脂肪値別の対処法について解説していきます。そこまで大きく基準値から外れていなくても、その状態を放置してしまうと悪化してしまうこともありますので、今出来る対策法をきちんと把握して、少しでも中性脂肪値を改善させるようにしてくださいね。

29mg/dl以下:低中性脂肪血症

中性脂肪の数値が基準値よりも低い、29mg/dl以下の場合は低中性脂肪血症と判断され、その原因となっている病気の有無を調べることになります。

検査の結果、特に甲状腺や肝臓などに異常がなく、中性脂肪値が低いだけであれば多くの場合食生活を見直すことでその状態が改善されるとされています。まずは栄養バランスの良い食事をきちんと3食食べるようにしてください。

また、ダイエットのために炭水化物や糖分、脂質などを制限し過ぎてしまっている場合は、体がエネルギー不足の状態に陥っていることも考えられますので、これらの食品を適度に摂取することも効果的です。

150~299mg/dl:軽度高中性脂肪血症

中性脂肪の数値が150〜299mg/dlの場合は、軽度高中性脂肪血症と診断されます。まだ薬物療法の必要はありませんが、食事療法や運動療法を開始してこれ以上中性脂肪値が増えないように対策を取っていく必要が出てきます。

また、日本人間ドック学会の判定基準によると、中性脂肪値が150〜249mg/dlの場合は要経過観察となりますが、250mg/dl以上になると精密検査または治療が必要としています。

300~749mg/dl:中度高中性脂肪血症

中性脂肪値が基準値よりも中度に高い中度高中性脂肪血症と判断されると、食事療法や運動療法を確実に実施して中性脂肪の数値を下げる必要があります。また、食事や運動以外に中性脂肪値が高値となる危険因子があると判断された場合には、合わせて薬物療法が行われます。さらに、中性脂肪値が500mg/dl以上の場合は、禁酒を医師から指導されることが多いようです。

750mg/dl以上:高度高中性脂肪血症

中性脂肪値が750mg.dl以上の高度高中性脂肪血症となると、膵炎を起こすリスクが高くなるため薬物療法を行って、確実に中性脂肪値を下げる対策が取られます。特に中性脂肪値が1000mg/dlを超えているようであれば、急性膵炎を起こしやすくなるため、中性脂肪値を降下させる治療が必要になります。

まずは中性脂肪値を改善するポイントを知っておく

中性脂肪値を改善させるためには、生活習慣を見直すことがとても大切です。ですが、もし健康診断などで要検査等の指導があった場合には、まず病院を受診して医師の指示に従って対策をとるようにしてください。中性脂肪値以上の背景には何か重大な疾患が隠れていることもありますので、「たかが中性脂肪」と油断せずしっかりと自分の状態を把握するようにしましょう。

まずは病院を受診しよう

健康診断などで中性脂肪値に異常があり、病院への受診を指導されたらきちんと受診するようにしてください。多少高くても「ただ太っているだけで特に問題ないし」などと考えて放置していると、糖尿病や甲状腺機能低下症、肝障害などの病気を引き起こす可能性があります。

きちんと病院を受診して、医師の指示に従い適切な治療を受けるようにしてくださいね。

生活習慣を見直そう

中性脂肪値が高い人には、その多くで肥満や食べ過ぎ、運動不足、ストレス過多、飲酒、喫煙などの習慣が見られると言われています。もしこれらの状態が慢性的に続いているようであれば、自分に出来るところから生活習慣の見直しを行っていきましょう。

中性脂肪値を減らすためには、動物性脂肪が多く含まれている食品や糖質を摂りすぎないことが非常に大切です。また、清涼飲料水には基本的にかなりの量の砂糖(20g〜50g程度)が含まれていますので、清涼飲料水を飲む機会が多い方は少し減らすように心がけてみてくださいね。

また、中性脂肪値を改善させるために特に有効とされているのが有酸素運動です。散歩やサイクリング、ジョギング、水泳などを行うと血行が改善され中性脂肪の低下に繋がります。さらに有酸素運動には血圧の改善、糖尿病の改善、心筋梗塞や脳卒中などの予防といった様々な効果も期待することが出来ます。

現在運動の習慣がない方は、ぜひ1日合計で30分から60分くらいの運動を週に3回程度、長期的に続けられるよう取り組んでみてくださいね。

中性脂肪値に異常があったらまずは病院で相談を

健康診断の中性脂肪の数値で異常を指摘されたら、まずはきちんと指示通りに病院を受診するようにしてください。自分では気づいていない内に重大な病気になっている可能性もないとは言い切れません。きちんと検査を受けて、医師の指示に従うようにしましょう。

また、多少異常はあっても病院の受診を指示されなかった場合でも、まず生活習慣の見直しを行うようにしてください。今は大丈夫でも1年後、2年後に大きな影響が出てくることも少なくありません。中性脂肪高値の原因と思われる生活習慣をきちんと改善し、継続していくことが大切です。

中性脂肪値は多少異常があってもすぐに大きな影響が出ることは少ないため、つい放置してしまいがちです。ですがそこから大きな病気に繋がる可能性もありますので、しっかりと対策を取るようにしてくださいね。